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銀髪になった侠介は助走無くそのまま飛び上がる。
その高さは助走無しでは考えられない高さ。
空中で体を回転させ足を突き出しジュバロに直下する。
侠介の足がジュバロに当たった瞬間にジュバロの体はV字に曲がり、断末魔の様な声が響くと同時、地響きが起こる。
舞い上がる砂煙りの真上から侠介が飛び出し、また直下するとズズンと音と共にまた地響きが起こる。
『ギュオーーーーーー!!』
ジュバロを中心に舞い上がる煙りは、今度は何か吹き飛ぶように真横から一直線に煙りが広がる。
それを目で追うバラド。
『何が起きてるんだ?』
真横に伸びた煙りの中からゆっくりと姿を見せるのは銀髪になった侠介。
その表情は少し笑っているように見える。
そして大きな砂煙りの中からジュバロが姿を現し、侠介目掛け一直線に走る。
『ウゼェ……』
侠介はボソッと呟くと右手を開き、手前に突き出す。
と、そこにジュバロは突っ込むが超硬化な物にぶつかった様にジュバロの動きが止まる。
『突っ込むだけで勝てると思うなよ。
闘いは、力のゴリ押しで勝てる程甘くない事を知って逝け』
次の瞬間、ジュバロの体が光り出し電撃の様な物が体を走り、その電撃は天に駆け登り雲を貫いた。
その電撃は遠く離れた各部隊にもしっかりと見えている。
電撃が消え、その中心には黒焦げになったジュバロがいた。
それはプスプスと音を立て、静かに地面に崩れ去る。
『倒した……のか?』
『あのジュバロの生命反応は完全に消えたみたい……』
バラドと玲華はまだ体が固まったままだった。
その時、銀髪だった侠介の髪が金髪に戻っていき大の字に倒れた。
『侠介!!』
それを見て駆け出すバラドと玲華。
もちろん神咲も駆け寄る。
『大丈夫か侠介!!』
『侠介しっかりして!!』
『侠介さん!!』
皆が声をかけると侠介は静かに目を開けた。
『お、大声…だすな……って』
体には目立った傷はないものの、三人は今の侠介は「内部的に危険な状態」だと気付いていた。
バラドは、すかさずミシェルに通信し状況を説明する。
それを遠くから見ていたシュリアスは「ふーん」頷く。
『ほんの少し、力を使っただけで倒れるなんて、まだまだね~。
さてデータは取れたし報告しなきゃ』
シュリアスは重装バイクにまたがり、走り去った。
まだ、周辺では生き残ったCDクラスのジュバロと交戦しているが、状況的に戦いは終息を迎える事となった。
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