プロローグ

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学園の広大な土地にある北の森の奥深く。 誰も知らない秘密の場所。 そこには、色とりどりの草花が咲いていた。季節も、この場では関係ないかのように。 サクラ タンポポ スミレ ヒマワリ ヒガンバナ モミジ イチョウ レンゲ ヤナギ 木々から小さな花まで、所狭しと咲並んでいる。 そして、その中心部には一軒の和風の小屋がある。 その家は、誰も居ないように物静かで、周りの木々、草花が風で揺れる音、木々に留まっている鳥の囀りが聞こえてくる。 しかし、そんななか微かに声がする。…いや、声と云うより何かが鳴く音。 その音は、一つの部屋から聞こえてくる。 暗い和室の中には、丸窓から差し込む光りだけで照らされていた。 その部屋に“何か”はいた。 白い毛並みに朱紫の瞳、ピンと立った耳、ゆらゆら揺れる尻尾。 部屋の中には真っ白な猫が佇んでいた。 .
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