エピソード①あおぞら

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マリコと横山は、火葬場の外で昇っていく黒い煙を見つめていた。 …最後の最後で堀田には言いすぎたかもな。 ただ嘘はついちゃいない。 あいつと長く友人でいるためには、それでいいと思った。 …死んだけどな。 「――…まぁ、なんつうか……元気だせよ。 ……って無理か。 俺もしばらくは辛そうだ」 マリコはその場に崩れ落ちて泣いていた。 「兄ちゃん、もう時間だぜ」 死神の少女に手を引かれ、空高く上がった。 「あ…………」 「ん?」 ボロボロのメガネが落ちていった。 「……いや、いいや。あのメガネ、伊達なんだ」 「……そうか。じゃ、自分の目でちゃんと見ときな。 これでこの景色ももう見納めだ」 「……やだ、なんかいやだ…… 何?これで俺は終わり? 俺って、こんなもん? まだ俺、何もしてねーよ…… やだ…… やだーーーーっ!!」 「ぎゃはは、駄目駄目。 ルールだからよ」 その時、少女が掴んでいた僕の手を離した。 「あ」 僕はそのまま地面へと落ちていった。 「堀田さん……」 烏がつまらなそうに舌打ちをする。 「あんたは甘ぇよ」 「堀田さん。じゃあ一度だけチャンスをあげます」
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