エピソード②坂の多い街

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終業式が終わり、あたしは教室の窓際の机で1人、寝たふりしていた。 クラスメートは皆グループを作ってお喋りしている。 「ぎゃはは!」 窓の外を見ると、またあの烏が止まっていた。 「クラス全員から総シカトか!みじめだね!ぎゃはっ!幼少時代のいじめは一生のトラウマになるんだぜ! おまえ、今朝は惜しかったじゃないの。せっかく楽になれるチャンスだったのによ」 「うるせえよ、おまえ。ついてくんじゃねえよ。あ。」 ポロッ ひじに消しゴムが当たり机の下へ落ちた。 コン コン コン 消しゴムは誰かの足元へと転がっていった。 消しゴムを取ろうとすると、上靴で消しゴムを踏まれた。 「おい。さっさと足どかせよ」 「あっら不思議!今あたし、ゴミが喋ったような気がしちゃった。ふふ。何も聞こえなかったよね――」 「ね――」 グッ あたしはペンシルを掴んで立ち上がった。 グググ… だけど何もしなかった。 「ぎゃはは」 ほんとくだらねぇ。 ハナからあんな幼稚な奴ら相手にしなきゃいいんだ。 靴箱を開ける。 ポロッ 靴箱の中は案の定、ゴミの山。 「ぎゃはっ!!おまえ、ホント笑うよ」 靴箱の上にはまた烏がいた。 「いつまでも強がってんじゃないよ!正直に言っちまおうぜ。「もう死にたい」ってよ!! ぎゃっは!おまえ、目赤いぜぇ!?泣いてんのかぁ!?」 「ちげーよ、バ――カ!」
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