プロローグ 桜の季節

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「ふふ、ラッキーだったよ。最近じゃロクにバイトもできないんだから」 「…………」 「これからは夕飯も、もうちょい豪華にできるよ」 「…………」 「……眠い?」 僕は彼女を立たせた。 「よし、じゃあ今日はもう寝よう。 俺も明日からバイトだし。 でも寝る前にトイレに行っておこうな」 促せば食事もトイレも、歩くことだってできる。 でも 意思も感情もまったくない。 返事すらしてくれない。 だから、彼女はここにいながらも もうここにはいないのだ。 チリン そう思うと僕は……
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