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「あ、雨だ」
誰かが呟くと同時に柔らかい小雨が降りだした。
この時期にはよくある天気雨だ。
「おい…待て……待てって!!」
珍しく真面目な声を出したタクヤに他の3人の視線が集まる。
「何よ?似合わない声出しちゃって」
「いいから!」
タクヤの指差す方向を追う。
「白い…狐」
純白の毛並みに銀色の瞳
細くてしなやかな肢体には色気すら感じる。
白狐は真っ直ぐにこっちを見ていた。
「綺麗…」
サナの呟きにあたしは言葉にせず頷き同意した。
本当にいたんだ。
迷信なんかじゃなかった。
あたしはドキドキしていた。
この退屈な日常が変わる気がして、宝物を見つけたような気分だった。
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