Ⅰ 狂った御伽噺

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「わあッ!」 躓いて転んでしまった。 いや、違う。足に何かが絡みついている。 「!?」 これは草のツルだった。引きちぎろうと足を動かすが、ただもつれるばかり。 どこからか伸びてきたそれはすぐに俺の身体の自由を奪った。 「離せぇ……ッ」 もがいた俺は地面を掴もうと爪を立てた。しかし地面が削られるばかりで俺はどんどん奥に引きずられる。 次に地を這う俺を捕らえたのは木の根だった。根は易々と俺の体を宙釣りにさせる。  
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