11人が本棚に入れています
本棚に追加
「琴音は、格好良いとおもわないの?」
「ん~。翔はお兄ちゃんだもん」
なんだかんだ言って、頼りになるし、私にとったら゙兄゙って感じ。
たぶん、好きとかじゃない。
「ふ~ん。でも、先輩は琴音のこと好きかもよ?」
「え~、それもない。゙妹゙って言われたことあるし」
私と翔はそんな関係じゃなくて、ただの兄妹。
少なくとも、私はそう思ってるし、これからもそうでありたい。
「もし…もしだよ?」
「うん」
「もし、先輩に彼女が出来たらどうする?」
「どうするって…?」
「今のままじゃいられないでしょ。兄みたいでも、本当の兄妹じゃないし」
そっか。
そんなこと、考えたこともなかったなぁ。翔に彼女か。
そしたら、今までみたいに一緒にいられないのか。
ん~。
「…わかんない」
「嫌じゃない?」
「…ちょっと」
「妹として?」
「…うん」
その後に付くはずの、たぶん。を私は飲み込んだ。
恋なんてしたことがない。よくわからない。
そんな私には、これが妹としてなのか、女としてなのかなんて、区別がつかない。
好き…かぁ
「わかんないなぁ」
「ん?」
「好きって気持ち」
理屈じゃわかっていても、まだ、わからない。
好きって何?
「それは、人それぞれだよ」
「そういうもん?」
「そういうもん」
未来はにっこり笑った。
彼女の笑顔は、妙に説得力がある。
そんな会話の途中で、私の視界の端に何かが揺れた。見慣れたその影に、私はふと足を止める。
「…あ」
「どうかしたの?」
校門の角に、先に行った翔が女の子と一緒にいた。
女の子が顔を赤くしながら、翔を真っ直ぐ見ている。
あの感じは…告白、かな。
「あんなとこに。琴音、よく先輩だってわかったね」
「うん。見慣れてるから」
翔が、申し訳なさそうな顔をした。断るんだ…。
そう思ったら、安心している自分がいるのに気付いた。
それからも視線は外れない。
いつもだ。
小さい頃からそう。翔が視界に入ってくると、気になって目で追うクセがある。
何か…やだな…
翔が女の子に笑いかけているのを見るのは、いやだ。
でも、翔は女の子大好きだからなぁ。なによ、ニヤニヤしちゃってさ。
バーカ
.
最初のコメントを投稿しよう!