登校、飛び降り、下校

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「琴音は、格好良いとおもわないの?」 「ん~。翔はお兄ちゃんだもん」 なんだかんだ言って、頼りになるし、私にとったら゙兄゙って感じ。 たぶん、好きとかじゃない。 「ふ~ん。でも、先輩は琴音のこと好きかもよ?」 「え~、それもない。゙妹゙って言われたことあるし」 私と翔はそんな関係じゃなくて、ただの兄妹。 少なくとも、私はそう思ってるし、これからもそうでありたい。 「もし…もしだよ?」 「うん」 「もし、先輩に彼女が出来たらどうする?」 「どうするって…?」 「今のままじゃいられないでしょ。兄みたいでも、本当の兄妹じゃないし」 そっか。 そんなこと、考えたこともなかったなぁ。翔に彼女か。 そしたら、今までみたいに一緒にいられないのか。 ん~。 「…わかんない」 「嫌じゃない?」 「…ちょっと」 「妹として?」 「…うん」 その後に付くはずの、たぶん。を私は飲み込んだ。 恋なんてしたことがない。よくわからない。 そんな私には、これが妹としてなのか、女としてなのかなんて、区別がつかない。 好き…かぁ 「わかんないなぁ」 「ん?」 「好きって気持ち」 理屈じゃわかっていても、まだ、わからない。 好きって何? 「それは、人それぞれだよ」 「そういうもん?」 「そういうもん」 未来はにっこり笑った。 彼女の笑顔は、妙に説得力がある。 そんな会話の途中で、私の視界の端に何かが揺れた。見慣れたその影に、私はふと足を止める。 「…あ」 「どうかしたの?」 校門の角に、先に行った翔が女の子と一緒にいた。 女の子が顔を赤くしながら、翔を真っ直ぐ見ている。 あの感じは…告白、かな。 「あんなとこに。琴音、よく先輩だってわかったね」 「うん。見慣れてるから」 翔が、申し訳なさそうな顔をした。断るんだ…。 そう思ったら、安心している自分がいるのに気付いた。 それからも視線は外れない。 いつもだ。 小さい頃からそう。翔が視界に入ってくると、気になって目で追うクセがある。 何か…やだな… 翔が女の子に笑いかけているのを見るのは、いやだ。 でも、翔は女の子大好きだからなぁ。なによ、ニヤニヤしちゃってさ。 バーカ .
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