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「うわっ、この声…学校一怖い田中じゃね?」
「やっべ、行こうぜ」
2階から聞こえてきた先生の声に驚いて、男子達は足早に去っていった。
「あ、私も行かないと!!」
「大丈夫、大丈夫」
「え?」
「未来~」
私は2階の窓を見上げて、手を振った。ぴょこっと未来が顔を出して、ピースをする。
「今の、未来ちゃん?」
「うん。未来は先生のモノマネが上手いんだ」
私が得意気に翔に言えば、ぽこっと叩かれる。全然痛くないけど、何で叩かれたのかわからず、私は翔を見上げたら、ため息を吐かれた。
「とりあえず、お前のお説教は帰りだな。君、大丈夫?」
「あ、はい」
「これからは気を付けな。一人で男についてっちゃだめだぞ」
「はい」
「よし。じゃあ、早く授業に行きな」
「あの、ありがとうございました」
女の子は、地面に落ちた教科書を拾って、一礼してから教室へ向かって行った。
「琴」
びくっ
な、名前で呼ばれた。
…翔が怒ってる証拠だ。
私は、恐る恐る翔を見る。
「言いたいことはいっぱいあるけど…。とりあえず、今は授業行け」
「は、はーい」
「帰り、迎えに行くから。逃げんなよ!!」
「うっ…」
去りぎわに、翔が言った。何か、すっごく怒ってる。
恐い…;;
私は身震いをしながら、未来の待つ2階へと階段を駆け上がる。
いつのまにかチャイムが鳴って、授業が始まっている。
「琴音、はやく」
「はぁっはぁ…わかってるよ」
私たちの授業は、ちょうど例の田中先生の授業。
どんなに急いだって遅刻は遅刻…案の定、こっぴどく叱られた。
「これからは、遅れないようにしなさい」
「「はーい」」
私たちは、それぞれ自分の席に向う。
私は席に着いて、やっと一息ついた。朝から色々ありすぎて、やってられない…
黒板を見れば、長々と書かれた英文…。もう書き写す体力もない。
「じゃあ、ここを渡辺さん。」
「は、はい!」
渡辺。そう、私の名字は渡辺でした;;って、そんなことより…ズラズラ並ぶ英文に目眩がする
「え、えーと」
「授業に遅刻するぐらいだもの。これくらい余裕よね?」
嫌味な先生の言葉に、カチンとくる。
私は、良いことして遅れたのに、なんでそんなに怒られなきゃいけないのよ。
とは思うけど、本当のコト言ったら、飛び降りた事までバレちゃうし…
耐えるしかない(泣)
「…わかりません」
「はい?」
「わかりません!!!!!」
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