始まり

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生徒全員が生徒に向かって、タメ口で愚痴を言っている。 ある生徒はステージの上に登り、先生の耳元で叫んでる者もいた。 たかが体育館を走るだけの事であるが、それでも授業の初めから終わるまでずっと走るのはさすがにつまらなかった。 それに何度もそんな授業が続いていてはクレームが起きても仕方がない。 そんなうるさい体育館内でも俺は何か違うものを感じた。 『走るが良い』とは… まるで俺らを見くびるようなそんな感じがした。 いつもの『走れ』とは違う。 命令形ではない… 走るが良いとは… そんな事を考えていると先生が再び口を開き、 「そうか従わないのか… 痛い思いをするぜ!ひゃははは!!」 そう言うと、ステージを降りて教官室に戻っていった。 今までうるさかった体育館が一気に静まり、教官室に戻る先生の背中を生徒全員が見ていた。
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