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「金川は何故か⑨番の後藤麻美が悪魔だと言い切りました」
「チッ…」
春日は苛立っていた。
まさか、会長との電話を聞かれていたとは迂闊だった…
その時、内線が入った。
「春日です。…はい。え?…フフフッ…そうですか…わかりました」
リクライニングに深く腰を下ろし、残り時間を確認する。
「残り時間は7分弱か…」
会場のモニターに再び目を通した。
神長は自分の考察を全員に発表する。
「恐らく、金川は後藤さんに⑨の番号を引かせるよう指示されていたのかもしれません。現に封筒を最後に手にしたのは遠藤さんと後藤さんでしたよね?」
俺はあの時の場面を振り返った。
確かに②と⑨が残っていて、麻美が先に⑨を手にとったのを覚えている。
「遠藤さん…因みにお二人は何故この場所にいるんですか?」
………………
思い起こせばそうだ…
俺がここにいるのは、麻美を暴行した疑い。
麻美は公務執行妨害の疑い。
麻美はこの場所で俺に会った時、少しも警戒するそぶりも見せず、近づいてきた…
もし、俺が暴行していたなら、それはない。
じゃあ麻美は………
その時、春日が口を開いた。
「残り時間、5分!!」
神長は呼吸を整え、春日に言い放つ。
「私、後藤さんを指名します!」
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