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俺の胸の中で泣いていた麻美が急に震えだした。
やっぱり、麻美が俺を陥れるような事をするはずがない!
と、思った矢先に俺を突き放し、麻美は大声で笑った。
「キャハハハ!あ~面白かった!」
麻美の豹変ぶりに、プレイヤー全員が唖然としていた。
「孝幸、アンタといると疲れんのよ。アンタ、結構モテるから一緒にいたけど、所詮フリーターだもんね」
生死を賭けたゲームだ。麻美も壊れてしまったのか?
「麻美…どうしたんだ?」
俺が歩み寄ると、麻美は同じ距離だけ離れた。
「孝幸って今じゃ珍しいぐらい純だよね。アンタはキープなの!わかった?私にはお金持ちの本命がいるわけ!アンタを切りたかった…だから、酔っ払って家に上がり込んできたアンタを通報したのよ!それなのに、私までこんなくだらないゲームに巻き込みやがって!アンタ…最低…」
怒り、悲しみ、絶望…
全ての感情が渦巻く。
ずっと信用してきた…
本当に愛していた…
走馬灯のように、今までの思い出が蘇る…
「あ、アンタ…よくそんなこと言えるわね?アンタ死ぬのよ?分かってるの?」
七瀬が不思議がっている。
「アハハハッ!この世はね。お金があれば命も買えるの。わかる?やっぱり大事なのは…お・か・ね!」
麻美はスタスタとジャッジルームに向かう。
部屋の前にたどり着くとこちらを振り返り、みんなに笑顔で話しはじめた。
「私はね、死なないの。証明してあげる」
淡々と椅子に座り、余裕の表情でこちらを見ていた。
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