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「ほら、春日!ジャッジ始めなさいよ!」
春日は静かに語りだした。
「皆さん、残り時間もわずか…これが最後のジャッジになるでしょう…」
リクライニングを離れ、画面から消えた。
すると、ジャッジルームの真向かいの位置、二階部分のシャッターが開き、春日が姿を現した。
「それでは、皆さん…いや、遠藤君。君に真実を伝えよう」
春日は葉巻に火をつけ、美味しそうに煙りを吸い込む。
「後藤麻美。彼女は滝川コンツェルンの跡取り、滝川勝と交際している」
え?滝川コンツェルン!?
全国でこの名を知らない人間はいない。
手広く事業を展開し、その全てが成功。
この国で現在、1番財力のある企業だろう。
でも、一庶民の麻美が何故…?
「出会いとはわからぬものだ。とにかく、彼女と滝川勝氏は恋人関係にある。しかし、あくまで非公開…それで、何も知らされていなかった我々は麻美さんをこのゲームの参加者として受け入れてしまった…」
受け入れてしまった?てことは、やはり金があればどうにかなるって事なのか?
世の中、金なのか…
「神長さんの言う通り、金川を使って、我々は彼女を有利な方向へ導かなくてはいけなくなったのだ…」
春日の口角に変化が見られる。
徐々に徐々に口角は上がっていった。
「…ククククッ。もうダメだ!耐え切れん」
春日は腹を抱えて笑っている。
「け、結局どうなんだ!ぼ、僕たちは死ぬのか?」
白石は不安を隠しきれない。
「クリア!皆さん!おめでとう!ゲームクリアです!そう、後藤麻美、彼女は悪魔です!」
麻美は苛立ちながら春日に命令する。
「春日!早く終わらせて!こんなとこにいつまで閉じ込めとくのよ?」
春日は笑う事をやめない。
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