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対談、そして…
麻美の最後を見届け、全員解放された。
みな、自分が入ってきた通路へ向かい、出口を目指す。
帰り際、神長からメモをもらった。
「あ、あの…後で連絡もらえますか?」
今は何も考えたくなかった。
メモをそのまま胸のポケットにしまい、俺も出口を目指した。
他のメンバーは開放感に浸っているのだろう。
俺はというと、心という物体を大砲で打ち抜かれたような、失望感、喪失感、そんなものが残っていた。
エレベーターに乗り、座り込んだ。
一人の空間を手に入れ、俺は泣いた。
麻美に騙されていた事、そして、麻美を失った事、二つの感情が混じり合い、声を出して泣いた…
涙が涸れるほど泣いた…
エレベーターが目的地に着いたものの、俺は泣き崩れていた。
ようやく気持ちを落ち着け「開」のボタンを押す。
目の前には黒服の男が二人…
?
よく見ると、ゲームが始まる前に来た場所と違っている。
ここは何処だ?
多少、錯乱気味の俺を黒服二人が誘導する。
「遠藤様、こちらです」
俺は既に抵抗する力さえなかった。
言われるがまま、黒服の後ろを歩き、ある部屋に通される。
ドアを開けると、そこには先程まで液晶に写っていた男が待っていた。
「ご苦労様、遠藤君」
さっきまでとは違い、彼の言葉からトゲは抜かれていた。
「まぁ座ったらどうだい?何か飲むか?」
春日は黒服に指示を出し、ミネラルウォーターを用意させた。
エレベーターで流した涙のせいか、喉はカラカラだった。
俺は渡された水を一気に飲み干した。
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