対談、そして…

1/4
前へ
/115ページ
次へ

対談、そして…

麻美の最後を見届け、全員解放された。 みな、自分が入ってきた通路へ向かい、出口を目指す。 帰り際、神長からメモをもらった。 「あ、あの…後で連絡もらえますか?」 今は何も考えたくなかった。 メモをそのまま胸のポケットにしまい、俺も出口を目指した。 他のメンバーは開放感に浸っているのだろう。 俺はというと、心という物体を大砲で打ち抜かれたような、失望感、喪失感、そんなものが残っていた。 エレベーターに乗り、座り込んだ。 一人の空間を手に入れ、俺は泣いた。 麻美に騙されていた事、そして、麻美を失った事、二つの感情が混じり合い、声を出して泣いた… 涙が涸れるほど泣いた… エレベーターが目的地に着いたものの、俺は泣き崩れていた。 ようやく気持ちを落ち着け「開」のボタンを押す。 目の前には黒服の男が二人… ? よく見ると、ゲームが始まる前に来た場所と違っている。 ここは何処だ? 多少、錯乱気味の俺を黒服二人が誘導する。 「遠藤様、こちらです」 俺は既に抵抗する力さえなかった。 言われるがまま、黒服の後ろを歩き、ある部屋に通される。 ドアを開けると、そこには先程まで液晶に写っていた男が待っていた。 「ご苦労様、遠藤君」 さっきまでとは違い、彼の言葉からトゲは抜かれていた。 「まぁ座ったらどうだい?何か飲むか?」 春日は黒服に指示を出し、ミネラルウォーターを用意させた。 エレベーターで流した涙のせいか、喉はカラカラだった。 俺は渡された水を一気に飲み干した。
/115ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加