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「…君の気持ちは物凄くわかる。だが、君の涙は間違っているぞ」
春日は俺の肩に手を添え、物静かに語り出した。
「いいか?君は特別な人間だ。今回、君が選ばれたのにはちゃんと理由がある。今回のゲームは君への試験であり、試練だったのだ」
春日は立ち上がり、椅子に腰掛けた。
すると、ある資料を手にまた話し出す。
「君は並外れた頭脳指数があるにも関わらず、それを隠し、ろくな職にも就かなかったね?君が認識してるかどうかはわからんが、君のIQは200を超えている!」
そう…俺は一昔前まで「神童」と持て囃されいた。
特別扱いされる事に、物凄く抵抗があった俺は、なるべく目立たぬよう、成績を落とし、ひっそりと普通の生活を送っていたのだ。
「君は非常に価値のある人間だ!しかし、君には必要なものがある。何だと思う?」
考えるのも嫌になっていた俺は適当に相槌をうっていた。
「…必要なもの?金ですか?フフッ」
春日は少し残念そうな表情を浮かべた。
「今の君に聞いてもわからんだろうな…だが、時がたてばわかるだろう…」
春日はバーボンを口に含み、窓を眺めた。
「君に必要なもの…それは非情。君は人を信用しすぎる」
「…信用しちゃいけないんですか?人を信用しないなんて、間違っている!信用があるから助け合ったり、励まし合えるんだ!」
ドン!!!
春日は机を思い切り叩いた。
「恋人、友人、所詮他人ではないか!親は子のために、子なら親の為に全力を尽くす!弟なら兄の為に、兄は弟の為に命を賭ける!いいか?大事なのは自分だ!!自分の都合で考えろ!!自分の位置で物事を考えるんだ!」
「………そんなの…無理だ…」
春日は続ける。
「お前は麻美に裏切られた。麻美は物事を金で考え、お前を切り捨てた。いいか?これが現実だ!だが、自分自身は裏切らない…お前は騙される側の人間ではない!騙せ!騙せ!!」
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