19人が本棚に入れています
本棚に追加
「孝幸君…」
英美の手は震えていた。
ライアーカット審査委員会からの招待状が届いたのだ。
「ごきげんよう。遠藤君、神長さん。君達があのあと交際を始めたのは知っている。今回、政府が発表するライアーカット。それが特例で、今回ばかりは自主参加になる。君達は前回の勝者だ。是非、参加していただきたい。というより、参加しなければならないだろうな。写真を同封した。それを見れば理由はわかるだろう」
春日は一枚の手紙と写真を送ってきた。
写真を見たが俺に心当たりはない…
しかし、英美はそれを見て涙を流す…
「お母さん……」
写真は何処かの病院だった。そこに写る女性は全身に管をつけ、生きてるのか死んでるのかわからなかった。
英美は号泣している…
「英美の母さんなの?何処かの病院みたいだけど、具合悪いのか?」
英美は泣きながら話しはじめる。
「…お母さん、ずっと具合は良くなかった…それでも、私を育てる為に朝から夜遅くまで、一生懸命働いてたんだ…それなのに私、一人でいる事に耐えられなかった…それで、家出して…私が悪いの!!」
英美は母親と二人暮らし。
生活は楽じゃなかった。
母親は英美に苦労させまいと、一生懸命、無我夢中で働いていたらしい。
手紙の内容を見ると、極度の疲労で心臓を患い、この国での治療は難しいらしい…
他国に渡り、手術をしなければ、余命は一年持つかどうか…
それにかかる費用…一億。
英美はゲームに参加すると言った。自分の為にこんな事になってしまった母親を救う為に…
俺はそんな英美を宥めた。
そして、決心する…
「英美…俺に任せろ。お前はこの家で待っててくれ。大丈夫!必ず生きて帰るからさ」
英美は拒んだ。自分の問題で孝幸を失いたくないから…
「英美。俺には家族がいない…両親は二人とも死んだ。俺にとって家族と言えるのは英美…おまえだけなんだ。英美の母さんは俺にとっても義母さんなんだから、帰ってきたら紹介してくれよ?」
最初のコメントを投稿しよう!