第二回、ライアーカット

6/10
前へ
/115ページ
次へ
戦場に行く戦士達もこういう気持ちになるのだろうか… 俺は英美が愛おしい。 彼女を失いたくない。 俺の言葉、それはプロポーズだった。 英美は激しく泣いた。 嬉し涙と悲しい涙… 二つの涙が混じり合い、その涙を俺は拭った。 英美を抱きしめ、口づけを交わす。 こんな時だからだろうか… 互いを求め合った… 第二回、ライアーカットまで残り一ヶ月… 俺は英美との生活を一日一日大切に過ごしていこうと思った。 仕事の無い日は二人で出かけたり、家でゴロゴロしていたが、そんな日常だからこそ幸せを感じる。 死と直面すると、人は生に対してかなりの執着心を抱くものだ。 愛する人の何気ない言葉、仕草、出来事、全てが愛おしく感じる。 あれから三週間… 毎日毎日、英美の総てを愛し続け、一分、一秒も無駄にはしなかった。 そんなある日、一人の男が訪ねてきた。
/115ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加