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金子は事務所で支度をしていた。
とうとう鬼島を殺せる…
ボディチェックはあるだろうが、念のため衣服のあちらこちらに刃物を仕込ませた。
助手の渡瀬がコーヒーを入れる。
「アンタ…絶対戻ってこいよ?私…私はアンタが…」
金子は渡瀬の言葉を遮るように話した。
「馬鹿か?テメェは。帰ってこれない=任務失敗だろうが!俺は今まで一度も…いや、一度だけはあったが、かなりの高確率で仕事は成功させてきた。縁起でもないこと言ってんじゃねぇよ!馬鹿助手が!!」
渡瀬は顔を真っ赤にして金子の頭を殴った。
「うるせぇよ!テメェがいらついてるから、和ませてやったんだよ!」
金子は渡瀬に見えないよう微笑み、ボソッと呟いた。
「ありがとよ、里緒菜…」
普段素直じゃない二人。渡瀬は金子の背中に抱き着いた。
金子も拒むことなく、その数秒を刻みこんだ。
「じゃあな。あっ!そういや、電気代払うの忘れてたぜ。今日中に払ってこいよ?」
そして、金子もゆっくりと歩き出した。
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