「キング」ゲーム

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キングゲーム。ポーカーの簡素版である。 しかし、このゲーム。かなりの心理戦。 手役を作る手間はない変わりに自由に自分でカードを選択し、相手の上を目指さなくてはならない。 下りるにしても、後半まで行くとその代償は大きすぎる… 大将戦がキーポイントになるのは明白だ。 運も多少は左右するが、巧妙な話術が必要となる。 春日の講釈は続く。 「皆様!それでは早速ゲームを始めますが、その前にアタッシュケースの中をご覧下さい!」 アタッシュケースの中には、円状の物体が入っていた。 そう… 前回、その実力は実証済み… シリコンリングだ。 遠藤、松永は顔を青くした。 遠藤は麻美の最後を、松永は自分の手足が吹き飛ぶ様を思い出す… 「そのリング…後々重要な役割を担うかもしれません。皆様、両手、両足にそのリングを装着下さい」 遠藤、松永以外のメンバーは何も知らない。 だから、言われるがまま、リングを装着する。 遠藤は前回とは違い、首のリングがないことに気付いた。 とにかく、装着しないことにはゲームは始まらない。 仕方なく装着した。 一方、松永は既に左の手足を失っている。 装着する場所は二カ所しかなかった… 春日はそれに気づいた。 「…フフフッ。松永さん。貴方にリングは四つもいりませんでしたね。すみません。右の手足のみに装着してください」 松永は春日を睨んだ。 それを見ていた、鬼島は松永を殴り倒す。 「早くしろ!後はお前だけだ!」 松永から見れば鬼島はかなりの年下。 しかし、彼の雰囲気は今まで会った人間にはない殺気があった。 逆らえば、殺される… 松永はそそくさとリングを装着した。
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