第一章 クライス村

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「父さん!…しっかりして父さん!!」 少年は必死に声を掛ける。 少年の目の前にいるのは一人の初老の男。 おそらくこの少年の父親であろう男は、病気により衰弱し、その命の灯火は今にも消えかけていた。 「アル…よく聞いてほしい。私はもう病によって天に帰るだろう。 しかし、その前に伝えなければならないことがある」 男は少年の目を見ながらそう告げた。 「お前には…」 …。 ……。 ………。 アル「特別な力がある…か」 漆黒の髪、闇よりも深い瞳、筋肉が程よく付いたしなやかな体に旅人が好んで着る動きやすい旅人の服を身に纏い、手に両刃の剣を持った少年「アル・イグニクス」はぽつりと呟いた。
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