第一話

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毎日寝不足の体は悲鳴を上げる。 眠い・・・眠い・・・ もしも自分が死ぬのならば、それはそれで本望だ。 このまま、一生眠り続けてもいい。 愛する母と一緒に、永遠に眠れるのならば、梓は幸せなのかも知れない。 それでも、まだ、やっぱり今は死にたくない。 何も楽しむ事もなく、毎日を送っている梓。 でも、心のどこかでは、やっぱり人生を楽しみたい気持ちもあった。 でも、人生を楽しむ道を選ぶのは、母を放棄するのと同じ事なのだ。 眠気を吹き飛ばすために、休憩時間になると顔を何度も洗った。 お金が欲しい・・・もっと、もっと・・・ そんな事を考えていると、いつの間にか、梓の後ろに寛人が立っていた。 「アズちゃん、大丈夫?」 何度も顔を洗っている梓が心配だったようだ。 「大丈夫です。」 梓は失礼のない程度に答えた。 「でも、顔色悪いよ?」 お金持ちで裕福な寛人の肌つやは、梓よりもよっぽど綺麗だった。 「大丈夫ですから。そんなに心配しないでください。」 そう言うと、持ち前の営業スマイルを見せた。 「お金に困ってるの?」 寛人が梓にそう訊ねた。 もし、ここでそうですと認めたら、寛人は梓にお金をくれるのだろうか? 梓は、そんな事を一瞬考えた。 だが、世の中はそんなに甘くはない。
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