第二話

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「私は、道端に紛れて落ちているお金は、全て拾います。 それに、そのお金に例え、犬の糞がついていても、私には一円でもお金です。 そんな底辺の人間と、楓さんのような心の綺麗な人が、分かり合えるわけがないんです。 それじゃ、私はもう行きます。 寛人さんが本当の事を知ったからと言って、私は何も変わりませんから。 余計な事はしないでください。」 梓は、そう言うと、病室に向った。 梓の心は、楓や寛人に十分、掻き乱されていた。 なぜか、今日は母を見ても、上の空だった。 寛人の優しい笑顔や、大きな手。 それから、楓の優しい眼差し。 それが、母を越えそうな気がして、梓は怖くなった。 「ごめんね、お母さん、私はちゃんと守るから・・・余所見しないから・・・ また、明日も来るね・・・」 そう言うと、病室を後にした。 こんな日は、心が悲鳴を上げる。 それでも、自分に言い聞かせた。 私は守銭奴、お金が全て。 お母さん、私はあなたと、お金を愛し続けます。
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