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夜になると、キャバクラへ向った。
愛を求めているのに、愛のない生活が、時々自分を苦しめる。
鏡を見て、いつものようにお化粧をした。
「アズちゃん。」
振り向くと、泣き腫らした目をした楓が立っていた。
「寛人さんに、振られてしまったの・・・」
楓の言葉に、何を言ってあげていいのか、梓はわからなかった。
「そうですか・・・」
「アズちゃんに、寛人さんを紹介したこと、後悔しているの・・・私って、本当に駄目な女よね・・・」
泣き腫らした顔に、綺麗にお化粧をして、泣き顔を隠した。
どんなに悲しくても、辛くても、切なくても、仕事とプライベートは分けなくてはいけない。
楓はその事を十分知っている。
だからこそ、お店に出た時は笑顔を絶やさない。
もしかすると、誰もが悲しみを抱えて生きているのかも知れない。
梓は、自分だけが不幸のような気がしていた。
だけど、何かが違う気がし始めていた。
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