第二話

8/11
前へ
/59ページ
次へ
夜になると、キャバクラへ向った。 愛を求めているのに、愛のない生活が、時々自分を苦しめる。 鏡を見て、いつものようにお化粧をした。 「アズちゃん。」 振り向くと、泣き腫らした目をした楓が立っていた。 「寛人さんに、振られてしまったの・・・」 楓の言葉に、何を言ってあげていいのか、梓はわからなかった。 「そうですか・・・」 「アズちゃんに、寛人さんを紹介したこと、後悔しているの・・・私って、本当に駄目な女よね・・・」 泣き腫らした顔に、綺麗にお化粧をして、泣き顔を隠した。 どんなに悲しくても、辛くても、切なくても、仕事とプライベートは分けなくてはいけない。 楓はその事を十分知っている。 だからこそ、お店に出た時は笑顔を絶やさない。 もしかすると、誰もが悲しみを抱えて生きているのかも知れない。 梓は、自分だけが不幸のような気がしていた。 だけど、何かが違う気がし始めていた。
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!

142人が本棚に入れています
本棚に追加