第二話

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梓は、楓から目が離せなかった。 彼女の笑顔が、いつもどこか寂しそうなのは、もしかしたら、寛人に振られるということよりも、もっと悲しい思いを背負っているのかも知れない。 どちらにしても、楓という人間は本当にピュアだ。 キャバクラで働くと決めた時、この世界の人間というのは、お金に執着している者ばかりだと思っていた。 でも、この世界の女達もまた、男と接する仕事をしながらも、男からの本当の愛を求めている気がする。 愛って、何だろう・・・ 梓の胸の中には、いつも母への愛で溢れている。 でも、なぜだろう・・・ この満たされない思いは・・・ どう頑張っても、報われる事のない愛。 失う事も怖いが、今守っている事にも苦痛を感じるようになっていた。 足元がふらふらとして、視界がぼやけてきた。 笑っているのか、何を話しているのか、わからなくなってきた。 もう休もうか・・・ いや、休んだらだめだ・・・ その葛藤が頭の中で繰り返される。 それでも、目の前がチカチカして、そのまま真っ暗になっていく。 気力だけでは、どうする事もできない、人の悲しいまでの肉体。 梓は意識を失った。
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