第三話

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「ねぇ、アズちゃん、後藤さんの事どう思う?」 「どうって?」 「実はね、付き合ってって言われているの。」 楓はそう言いながら、寂しそうに微笑んだ。 「寛人さんの事はどうするんですか?」 梓の問いに、今にも泣き出しそうな楓。 「諦めるわ・・・だって、どんなに思っても、彼は私には届かない存在だから・・・」 「だから、私が後藤さんはいいんじゃないですか?と言ったら、じゃ付き合って好きになれるんですね?」 梓がそう言うと、楓は少し俯きながら、唇を噛み締めた。 「寂しいのよ・・・アズちゃんにはわからないかも知れないけど、私、寂しくて・・・」 「わかりますよ。」 梓の言葉に、楓は瞳に涙を溜めながら、梓を見つめた。 「楓さん、私はお金しか信じていません。 でも、あなたの事は少し信じています。」 梓がそう言うと、楓は堪えていた涙が溢れた。 それからしばらく泣き続けると、梓に向って言った。 「アズちゃん、さっきのことは忘れて・・・ さて、仕事頑張ろうね!」 楓は涙を拭うと、梓に微笑んだ。 梓はいつものように、楓の隣で接客を始めた。 楓は、魅力的な女性だ。 人気NO1になるのも頷けるほどの気配りが出来る。 そんな彼女でも、手に入らないものがあるのだ。 人の心・・・ それこそは、お金で買えないものなのかも知れない。 梓はそう思った。
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