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いつものように、病院へ向って、梓は真っ白で、細い体になってしまった母を見た。
でも、息はしている。
それでもいい。
それでもいいから、傍に居て欲しい。
梓は溢れそうな涙をグッと堪えた。
いつか目を覚ましてくれる。
そう信じて生きている。
もう目覚める事はないだろうと、医者は言った。
でも、医療は万全ではない。
もしかしたら、目を覚ます事だってあるかも知れない。
「お母さん・・・」
梓は、ずっと母を呼び続けた。
もう日課になっているのに、どうしても受け入れられない。
母を失う事など、梓には考えられなかった。
人の命は、お金では買えない。
それは正しい。
でも、こうして、お金で買える命もあるのだ。
母の延命治療は、すべてお金で維持されている。
梓の心はぽっかりといつも穴が空いている。
母の治療費のために、友達付き合いを一切やめた。
母の治療費のために、寝る間も惜しんで仕事をしている。
母の治療費のために、恋愛も捨てた。
全て捨てたのに、母はよくなる事はない。
どうして・・・
梓の心はいつも、母を求めて嘆き苦しんでいる。
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