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「つまり君は、記憶喪失という
ことになるんだ。」
「記憶・・・喪失・・・。」
女は、ショックを受けたよう
だった。寺脇は、書類を入れる
ような少し大きな茶封筒を女の
前に置いた。
「君の所持品だ。衣類はそこの
クローゼットに入ってる。」
女は封筒を開いた。中に入って
いたのは、財布と、どこかの鍵
だった。
「まあ、ゆっくりと思い出すと
いい。」
寺脇は、優しげに言った。
財布の中に免許証があった。
自身の免許証と、『大島優子』
という名前が書かれていた。
「これが、私の名前・・・。」
生年月日や、住所も、一応は
分かったが、それでも記憶は
戻らず、何か他人の物のような
気がした。
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