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「大河」
「おお? 君は、確か真中だったか?」
真中は「ああ。そうだ」と頷くと、ため息混じりに口を開いた。
「お前、先輩方に対して少し失礼だとは思わないのか?」
「ほへ?」
突然の真中からの注意に大河は間抜けな声をあげ、少し考えるような素振りを見せたが、
「ん~…どこがだ?」
とへらへらした口調で答えた。
「…分かってないなら指摘するが、キャプテンに対していきなりレギュラーをかけて試合をしたり、先輩方に対して『あざっす』って言うのは非常識とは思わないか?」
「え~。その方が先輩たちも俺に対して親しみを持てて良いんじゃないか?」
厳しく指摘する真中に対し、大河はそれを否定し、相変わらずへらへらと笑みを浮かべて答えた。
(こいつ…)
のんきな大河に苛立ちを覚えた真中は何も反論せず、彼に背を向けてその場を離れた。
(あんな奴とこれから3年間一緒に部活をするなんて、最悪だ)
真中は同級生の大河の第一印象が最悪だったため、これから始まる部活動生活に不安を感じずにはいられなかった。
これが、後に2人で協力して嵜垣中卓球部を引っ張っていく真中と大河の最悪な初対面であった。
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