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「や、苦手って言うか…」
瑠璃は言葉を濁した。
幽霊などしょっちゅう見ている瑠璃だが、見えてしまうのと見に行くのとは意味が違う。
おもしろ半分の行為=(イコール)必ず痛い目に合う、ということを経験済みな瑠璃にとって肝試しは最大のタブーなのだ。
「そーゆうあんたはどうなのさ?」
返答に詰まる瑠璃を後目に七海がさり気なく助け舟をだした。
(サンキューななちゃん。アイス割り増しするわ)
密かにそんなことを思いつつ瑠璃はホッと息をつく。
本当によくできた親友だ。
時々心が読めるのではないかと疑ってしまう。
「ウチは平気やで!幽霊なんておらへん、おらへん。しょせん人間が作り出した幻や」
「うっわぁ…。幽霊全否定」
この世に存在しないものを肉眼では見てないものの、七海は『在る』ことを知っている。
木元の根拠のない自信はどこからくるのか、七海は呆れた様子で彼を見た。
すると木元は神妙な顔つきになり
「恐怖は人をおかしくさせる。危機を感じたりすると五感が鋭くなって寒気や風を感じたり、ありもしないモノを幽霊と見間違えるんや」
…
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