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どこか苦しげに話す木元に七海と瑠璃はなんだろう、と顔を見合わせた。
「確かめて見ればただの杞憂なんよ…。きっと…」
それきり木元は黙って俯く。
(だからアイツは…)
瑠璃は気温が急降下していくのを感じた。
明らかに原因は木元だろう。
(哀感と…後悔、の念…?)
木元から感じ取った気持ちと黒いモヤモヤ。
(スゴくヤな感じがする)
「…木元、くん?」
困惑気味の瑠璃の声にハッと木元は我に返り顔を上げた。
途端に笑顔を取り繕って木元は苦笑いする。
「悪い。自分の世界に入ってしもたわ」
「…大丈夫かよ?」
何時もは、はきはきと話す七海にしてはどこか控え目で慎重な質問の仕方だった。
「おう!」
木元は屈託なく笑う。
しかし先ほどの陰りを見た瑠璃にはその笑顔が凄く偽物に見えた。
…
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