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「わ、私なんてぜんぜんっ。太ってるし髪の毛なんかパサついてるし…ぜんぜん美人じゃないよ…」
自分で言っていて虚しくなったのか瑠璃の声のトーンがさがってゆく。
産まれてこのかた自分を美人などと思ったことなど一度もない瑠璃だ。
自分自身に自信が持てない。
コンプレックスの塊のようなものだから。
「…瑠璃ちゃんは、自分が嫌いなんな」
「え…?」
不意に発せられた言葉に瑠璃は顔を上げた。
木元は苦笑いし頭をかく。
「気持ちはわかるんよ。…オレも、自分が嫌いやから」
瑠璃は意外な事実を聞いた気がした。
彼はいつもクラスの中心にいて、明るくて、太陽みないな人だったから。
でもよくよく考えれば自分自身が勝手に彼の性格を決めつけていただけかもしれない。
そうだ…。
心に陰りがない人などいない。
私のように。
たくさんの血がワタシにフりカカる。
『…るり…っ』
「……」
「瑠璃ちゃん…?」
ハッと瑠璃は我に返った。
まただ…。
身体が震える。
身体が冷たくさめていくのが手に取るようにわかり己を抱きしめた。
…
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