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突拍子もなく梨香に問いかけられた瑠璃はキョトンと目を丸くした。
「え?ううん。…夢なんて見なかったよ。見てたかもしんないけど覚えてない」
そう瑠璃が言うと梨香はホッとした顔をしてそう…、と呟く。
「なに?」
「なんでもない」
「何でもないわけないじゃん。こんな時間にさ」
瑠璃は眉を寄せて背中を向ける梨香を見つめた。
「なんでもないって言ってるでしょ!」
すると梨香は拒絶するように叫び瑠璃を睨みつける。
瑠璃はピクリと身体を震わせベッドを後ずさった。
そうだった。
・・・・
(お母さんは私が嫌いだったんだ)
だから気安く話しかけちゃいけないんだ。
「…私には関係ないね。いつも通りやっとくから仕事頑張って」
平静を取り戻した瑠璃は機械的にそう告げると梨香は軽く息を呑み顔をしかめたがやがて目を逸らし部屋を出て行った。
「…」
泣いちゃいけない。
だって私が悪いんだから。
「…」
なんで、そう思ったんだろう?
いつからこんな風になったのか、思い出せない。
最初から?
それとも父が死んでから?
それとも最近?
(わからない…)
…
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