憑依

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瑠璃は梨香が出て行ったドアを見つめる。 (お母さん) 心の中で呼んでしばらく、瑠璃は諦めてベッドを降りた。 日差しが明るくなってきた。 ふと瑠璃は等身と同じぐらいの鏡を覗いて愕然とする。 足に… 足に… 無数の痣が。 「ぁ…あぁっ」 部屋が深夜とか真っ暗でなくてよかった。 もしそうだったらパニックになって七海に電話していたところだ。 冷たいフローリングにへたり込み瑠璃は己を抱きしめ深呼吸する。 「…冷静に。取り乱したら思う壷」 昔からの教訓である。 「瑠璃。貴女は強い子だから大丈夫よ」 自分が映る鏡に微笑みかけ心を落ち着かせ立ち上がった。 すっかり目が覚めてしまった瑠璃は少し早めに支度を始めた。 …
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