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夏の朝の清々しい空気を肺に溜めて息を吐く。
「ん~!すがすがしい」
「よ!変人」
「うわっ…びっくりした」
変人とは失礼なことを言う。
「道端で独り言いって背伸びしてりゃ変人でしょ。よ!変人!」
「私にはちゃんと神風瑠璃(かみがぜ るり)っつーちゃんとした名前が…っ」
「はいはい、わかったよ瑠璃」
ぱっちりとした瞳をウィンクして笑いかけてきたのは、高校に入ってからできた友達の神威七海(かむい ななみ)だった。
大人っぽい顔にソバージュヘアーがとても似合う彼女は、住職をしている祖母と二人暮らしで跡を継ぐらしい。
だから仏教やオカルトにとても詳しいのだ。
そんな彼女と友達になれたのはなんとも幸運?だったと思う。
なぜなら…
「最近どう?金縛りとかあわない?」
「もうばっちり!ななちゃんから貰ったお札きくね」
「ばぁちゃんお墨付きだからね~」
「こんど貢ぎ物持ってかないと」
「ケーキがいいなぁ」
「うげっ…ってななちゃんが食べるわけじゃないでしょうが。…でもほんとに助かった。最近金縛り酷かったし」
「あんた大丈夫なん?なんかに取り憑かれてるんだったらなんとかしないと」
そうなのである。
自分はどちらかというと見えるほうなのだ。
…
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