マンホールと少女

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彼は木元隆也(きもと たかや)。 関西から転校してきた同級生でとても元気で人当たりの良い性格なのでクラスでは評判が良い。 男子が苦手な瑠璃だったが彼の人当たりの良い性格のおかげではなしやすい。 「木元くんってほんとやんちゃだね」 「そう言うても瑠璃ちゃんが大人しすぎなんやて。もっとエンジョイせな人生楽しくないで」 「そうそう、せっかくパーツの整った顔してんだから彼氏ぐらい作ったら?」 七海の一言に瑠璃はむむっと顔をしかめる。 「男子苦手な私にそれを言いますか」 「なんで?なんで男子苦手なん?」 「ん~…。なんでだろ。話難いっていうか、男子って女子からみれば何考えてるかわかんないじゃん?だから怖いのかな」 昔はこんなに苦手意識などしていなかった瑠璃だがいつの間にか、男子が苦手になっていた。 突然話かけられるとパニクって変なことを言ってしまうし、目を合わせることができない。 (意識しすぎなのかな) 「…」 ちがう…。 何かもっと別な…。 不意に瑠璃の頭の中に誰かの笑った口元が映った。 楽しい、とか。落ち着くといった類のものじゃない。 もっと醜悪で残忍な…。 瑠璃は首を振る。 それ以上ふれてはいけない。 楔(くさび)を解いたらその先は……。 「木元くんは大丈夫なのにね。なんで他はダメなのかな」 何気なく呟いた瑠璃の一言に木元は立ち止まる。 「…それはチャンスありってとらえてええの?」 「え?」 小声で呟いた木元の声は聞こえず瑠璃は聞き返したが彼はごまかすように苦笑いし 「なんもない」 と先に走って行ってしまった。 隣で「罪な女」とため息をついた七海にますます瑠璃は首を傾げたのだった。 …
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