日常

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それから大地は毎日ここに通うようになった。 奈菜子のやっていることに興味をがあった。 何故毎日こんな所まできて物を燃やすのか。 何故燃えるごみじゃなくて燃えないごみを燃やすのか。 聞きたい事は山ほどあった。 しかしそれを聞き出すに大地はかなりの時間を要した。 奈菜子はとんでもなく無口な少女だった。 いや、無口というよりは無関心といった方が正しいのかもしれない。 出会ったばかりの頃は大地がいくら話しかけても反応すらしなかった。 名前を聞き出すのに一週間。 目的を聞き出すのに一ヵ月。 ここに通いだして一年近くたつが、大地が奈菜子から話しかけられたのは初めの一回だけだった。 それでも最近はやっと会話らしきものが成立するようになった。 相変わらず大地が一方的に話しかけて、それに奈菜子が答えるだけなのだが、初めは一瞥すらしてくれなかった事を考えれば格段な進歩と言えるだろう。 だがその話した内容が、 「何してるの? 」 「―――――――――――――環境破壊」 「―――――――――――」 「何でそんなことしてるの? 」 「―――――――――――――人類滅亡」 「―――――――――は? 」 奈菜子とのコミュニケーションは困難を極めていた。
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