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――とある戦乱により荒廃した世界。そしてそれにより生まれた貧富の差が最も大きな国、アルドバーレ。
その富豪地区でも最も大きな屋敷の前に、一人の男が訪れた。
薄汚れたコートに身を包み、髪は乱雑に伸び放題。見るからにスラム街の住民である。
「おい、この屋敷に何か用――」
門の左にいたガードマンが話しかけようとした時、男が突然襲いかかった。
「!?」
その動きはかなり俊敏で、ガードマンが警棒を取り出すよりも速く何かを取り出し、その何かでガードマンの首筋を強打する。
「ぐ……ぁ」
取り出した物はアーミーナイフ。その柄で殴られたガードマンは反撃をする間も無く地に伏した。
「ふん、やはりこの程度か」
若干ハスキーな低音でそう言うと、男は嘲るような目を屋敷に向ける。
庭の向こうからは、男に気付いた他のガードマンが三人程こちらに走ってきていた。
「余裕だな」
男は静かに呟き、口角を歪めながら敷地内へと飛び込んだ。
しかし
次の瞬間、男は芝生の上に倒れていた。
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