【エピローグ】

2/2
前へ
/27ページ
次へ
午後3時15分。 表参道のわき道に、ひとりの男が身を隠すように立っていた。 どうやら何かを観察しているらしい。 男はふたりの向かい合う女を凝視していた。 そして、ニヤニヤと不気味に笑う。 「まぁた、ひとり引っ掛かった」 男は自分にしか聞こえない声でつぶやく。 「オレは結局、嫉妬深い女しか愛せないんだ。嫉妬させることでしか、愛を確かめることができない」 どうやらこの男は非常に歪んだ性癖の持ち主のようだ。 「叶美のときもそうだったな、そして蜜歩もよくやってくれたよ…まぁ、わざと携帯を置きっぱにしたり、嫉妬させるようなことを言ったり、いろいろと手伝ってはやったけどな」 男はひとりでぼそぼそと話しながら、恍惚の笑みを浮かべる。 すると男の携帯が鳴った。 「もしもし」 「もしもし、リョウ?今どこ?これから会わない?」 男はいいよと言って、電話を切った。 そして、表参道を原宿に向かって歩き出す。 「さあて、次はどんな手を使おうかな」 男は、ニヤリと笑って、都会の喧騒へと消えていった。
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

136人が本棚に入れています
本棚に追加