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それから数日間、あたしは落ち着かない日々を過ごした。
オーディションはやはりダメだったのだろうか。
あたしの気分に陰りが見えてきた、そんなとある金曜日の夕暮れ時だった。
~♪~♪~♪~♪~♪~♪
突然鳴りだした携帯電話を手に、あたしはある報告を受ける。
『はい、はい、ありがとうございます!がんばります!よろしくお願いします!』
それはモデル事務所の合格を知らせる電話だった。
『やったー!受かったー!』
あたしは嬉しさのあまり、ひとり大きな声を部屋に響かせ、ベットの上でジャンプした。
ついにあたしは、夢に1歩近づいたのだ。
そしてなにより、嬉しいことがもうひとつ。
これで…
「叶美」に近づける…
あたしは二重の喜びを噛み締めながら、1番にリョウに伝えたくてメールをした。
――――――――――
題名∥受かった❤
――――――――――
モデル事務所のオーディション受かったよ(*≧∀≦*)💕やったぁ💓明日は会えりゅ?早く会って直接話したいよぉ(●>д<●)❤
🍀蜜歩🍀
――――――――――
…送信
最近、仕事が忙しいと言って会えないリョウに、あたしは早く会って直接話したかった。
そして、リョウからの返信を待ちながら、あたしは物思いにふける。
それにしても、よく受かったものだな思い返していた。
あたしはオーディションで突拍子もないことを言ったのだ。
でもそれが逆によかったのかもしれない。
意表をついた発言が、面接官の心を掴みでもしたのだろう。
無論、あたしのモデルへの資質も見抜いていたと思うが…
あたしはニヤつきながら、これからの「叶美」に対する作戦を考えるのだった。
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