【本編】

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何かを告げるような奇妙なお天気雨が降る次の日の朝、それは突然の出来事だった。 あたしには、今なにが起きているのか、さっぱり分からない。 リョウからのメールを待ちぼうけしていたあたしに、突如、悪夢が襲い出したのだ。 ―――――――――― 題名∥Re: ―――――――――― ごめん。もう会えない。 好きな人が出来たんだ。 本当ごめん。 ―――――――――― あたしは驚きのあまり、床に携帯を落としてしまった。 が、すぐさま拾いあげ、リョウに電話をする。 が、繋がらない。 何度電話をしても、留守番電話サービスシステムに繋がるだけだ。 これじゃあ埒が明かないと思ったあたしは、直接リョウに会うため、家を飛び出した。 今日は土曜日、リョウは休みのはずだ。 あんなメール1通で、あたしが納得するとでも思ったのか。 よく男は“メール”で終わらせようとするらしいが、あたしにはその心理が理解できないでいた。 でも、正直そんなことはどうでもいい。 あたしはリョウのことで身も心もいっぱいだった。 大好きなリョウを失うかもしれない恐怖に、ガラスの心はただただ怯えていた。 リョウの家に着いたのは、お昼を過ぎる頃だった。 あたしはドアの前に立ち、深く深呼吸をする。 そして、震える指先を抑えながら、ゆっくりとチャイムを鳴らした。 ・ ・ ・ しかし、リョウは出ない。 あたしはもう1度鳴らす。 ・ ・ ・ やはり出ない。 どこかに出掛けているのだろうか。 しびれを切らしたあたしは中で待つことにし、合い鍵でドアを開いた。 リョウの部屋を出入りするのは、いつものことだ。 あたしが玄関で靴を脱ごうとしたその刹那、真紅のハイヒールが目に飛び込んできた。 警鐘を鳴らす音が耳に響く。
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