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未練がないといったら嘘になる。
でも、同時にどうしようもないという気持ちも強かった。
あんなドラマのようなワンシーンを見せられて、あたしはどうすることもできなかったし、何をする気も起きなかった。
あたしにできることは、おとなしく身をひくことだけだった。
そして不思議なことに「叶美」に対する醜い執着心が、身体中からキレイさっぱり消えていくのが分かった。
それもそのはずだ。
リョウを失ったあたしには「叶美」を嫌う理由がないのだ。
「恋」は「病」だなんてよくいうけれど、あたしにとっては、人間を悪魔に変えてしまう「疫病」のようなものだと思った。
ある意味、あたしは「疫病」から救われたのかもしれない。
『はぁ~』
パソコンの画面を見ながら、あたしはため息をついた。
そして、コメント欄を見ながら、もうひとつ大きなため息をつく。
ブログを始めてから、悪質なコメントがあとを絶たないのだ。
コメント欄をなくしてしまってもよいが、中には心温まる応援コメントもあり、ファンとのコミュニケーションを大切にしたいあたしにとって、ちょっとした悩みの種だった。
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