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午後3時15分。
表参道のわき道に、ひとりの男が身を隠すように立っていた。
どうやら何かを観察しているらしい。
男はふたりの向かい合う女を凝視していた。
そして、ニヤニヤと不気味に笑う。
「まぁた、ひとり引っ掛かった」
男は自分にしか聞こえない声でつぶやく。
「オレは結局、嫉妬深い女しか愛せないんだ。嫉妬させることでしか、愛を確かめることができない」
どうやらこの男は非常に歪んだ性癖の持ち主のようだ。
「叶美のときもそうだったな、そして蜜歩もよくやってくれたよ…まぁ、わざと携帯を置きっぱにしたり、嫉妬させるようなことを言ったり、いろいろと手伝ってはやったけどな」
男はひとりでぼそぼそと話しながら、恍惚の笑みを浮かべる。
すると男の携帯が鳴った。
「もしもし」
「もしもし、リョウ?今どこ?これから会わない?」
男はいいよと言って、電話を切った。
そして、表参道を原宿に向かって歩き出す。
「さあて、次はどんな手を使おうかな」
男は、ニヤリと笑って、都会の喧騒へと消えていった。
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