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――――コポコポと音がする。
閉じていた瞳を少しだけ開ければ。
その音は気泡の音なんだと僕は理解した。
そしてこの温かい水の中に、僕は身体を丸めて透明な筒の中に浮いている。
どうして此処にいるのか。
それは、それらは全く判らないけれども。
ただ一つだけ判るのは、筒を隔てたその先にいるのが、僕を作ったママなんだという事。
ママは毎日毎日、僕に会いに来てくれる。用事が終わったらすぐに帰っちゃうけれど、僕はママに会える時間がとても嬉しい。
ママは僕を見ても特に表情を変える事なく、何かを羽ペンでサラサラ書いているだけなんだけれど。
笑ってくれたら、きっと可愛いだろうになぁ。
そんな事をふと思ったりもするけれど、ママの表情はいつも変わらない。
それでも僕は、ママを見れるだけで幸せだからいいんだけどさ。
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