└【人称】

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  《一人称》 まず末っ子の「一人称」から紹介しましょう。一人称さんは「僕」「おれ」「わたくし」などなど、物語を自分の目線でとらえます。 『俺は姉貴が嬉しそうな顔で出してきた命令に、嫌々ながら従った』 例文を出すとこんな感じかな。 主人公視点で物語が進む場合に多く使われますが、性格なのか「自分のことしか見えません」。 と書くと、なんだかただのワガママみたいですが(笑) つまり、一人だけの視点で話が進むので「そのキャラに分からないことは分からない」んですね。 ダメな例だと 『俺は姉貴が嬉しくて出した命令に、嫌そうに従った』 なんだか違和感がありませんか? 「俺」の視点なのに、なんで姉の気持ちがわかって、自分の気持ちが他人事なの? と。つまりはそういうことなんですよ。 自分の見ている印象でしか景色や他の人物を表現できないし、はっきりした気持ちも自分の気持ちしか解りませんよね。 相手が何を思っているか、というのは表情や仕草から推測するしかないわけです。 でも、自分しか見えないからこそ、すごく良いところもあるんですよ? それは、読者が一人称で話しているキャラ――たいてい主人公――に「感情移入」しやすいということ。 書くのも読むのも、物語に入り込むのが楽なんです。語り口が「自分」なので、一番親しみやすいわけですね。 ただし、自分や相手の感情や行動ばかりに捕らわれて、周りの事(例えば情景描写など)を見落としがちですので、注意が必要です。  
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