思ったら一球入魂……じゃなくて一振入魂!!

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外では身を裂くような冷たい風が吹き荒れてる。 そんな冷たい風に体温を下げられないよう、家中の窓を締め切り、更には全ての鍵もかけ……女の留守番は何が起こるか分からないからね。 ……まぁうちの場合は何もないだろうけど。 うちには不似合いの小花柄のカーテンを閉め切り、外の光をシャットダウンした自分の部屋で、食い入るようにテレビを見ていた。 テレビの映像は、新撰組が主役のもの。 誠を背負い、己の誠を貫いた男達の生き様を描き、華やかも波乱にも満ちた内容。 新撰組の生き様、散っていく命にお涙ちょうだいされるけど、うちは新撰組以上に…… 「姉貴ー、いるー? ……て暗っ!? げっ!? 泣いてんのかよ!?」 ある人に滝のように……ナイアガラの滝もビックリだよ!! てな勢いで涙と鼻水を盛大に流していた。 「超きさねえ!! マジきたねえんだけど!! ていうか汚物だろ」 ノックもなしに入ってきた我が弟よ、実の姉に対して汚物は酷くないかい? うちが繊細な心の持ち主だったら、ガラスのハートはガラガラと音をたてて崩れていたとこだよ。 「まぁた歴史ビデオ借りてきてたのかよ。で、まぁた同じ場面で泣いてんのかよ」 弟……俊(シュン)はテレビの画面を見て呆れたように言いながら、うちの顔にティッシュの箱を押し付けた。 ……ティッシュでうちの涙と鼻水はせき止めれるかな? まぁないよりはマシだから数枚のティッシュを目と鼻に押し当てて、チーンと鼻をかんだ。 ……女としてあるまじき行為だが、弟しか見ていないからいいのさ。
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