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同情……。
そう、なのかな?
うちは吉田稔麿の死を哀れんで、勝手に心配して……これは同情だというのかな?
「同情……か。確かに同情かもしんない。
でもね!!」
ガバァッと勢いよく立ち上がり、ベッドに座っている俊の肩を掴んだ。
スチール缶を握りつぶせる握力で俊の肩を掴んだ!!
「気になって仕方ないんだよぉぉぉ!! うちが吉田を幸せにしたいんだよぉぉぉ!!」
もし幸せじゃなかったのであれば、うちが幸せにしてやりたい!! と、いつの間にか思っていた。
その思い俊にも届けーって願いを込めてガックンガックンと前後に揺らしていれば……あれ? 俊の顔色が青くなってね?
揺らしている合間にうえっぷぅと明らかにヤバい声が聞こえてきて、焦って手を離した。
そしてすかさずゴミ箱を俊の前にセッティング。
これでいつでも吐いていいぜ!! と構えていたけど、俊は真っ青になってはいるが吐く気配はない。
吐く、までには至らなかったかな?
「……殺す気かよ」
殺す、までにも至らなかったよ。
「幸せにしたいって、普通男が言う台詞じゃねえの?」
ちょっとだけ時間をおいて回復した俊がそう言った。
「男社会はもう昔の話なんだよ。今は女が男を幸せにできる世の中なんだから」
「相変わらず男前な。だから今までの彼氏にふられるんだよ」
ぐはっ!!
こいつ痛いところを突いてきやがった!!
うちの人生で付き合った二人の男。最終的にはうちをふった二人の男。
……原因は男前と言われる性格からだったのか!?
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