折れる程弱くはない!!怖がる程繊細じゃない!!

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向けられていた冷たい威圧感が軽くなって、一気に体から力が抜けた。 「で? いつまで俺の体に触れてるの? 死にたい?」 「すすすいません!!」 瞬時に抜けた力が体に戻ってきて、物騒なことを言う吉田稔麿から体を退かす。 ……あんな間抜けな姿で命のやり取りに及びそうになった深刻な話をしていたとは。 今更ながらに恥ずかしい。 もういっそのこと、バッサリ斬られた方がよかったんじゃないか? って一瞬だけ思えたよ……。 「じゃあ直は奇兵隊の女中兼隊士で扱うからな」 「俺は構わないよ。でもその代わり、一つ条件があるかな」 吉田稔麿の何か企んでいる薄い笑みに、眉を潜める晋作さん。 条件て……な、なんか難しいとか恐ろしいもんじゃないだろうね!? 晋作さんみたいに俺に一撃いれろ!! とか言うんじゃないだろうね!? 晋作さんには悪いけど、吉田稔麿には勝てる気がちっともしない……。 「それを俺の小姓にして」 「「は?」」 あ、意外な条件に晋作さんと声が被った。 でも難しい条件じゃなくて良 「その方が怪しい動きをした時殺りやすいからさ」 くなかったぁぁぁぁ!? 一秒たりとも気の抜けない条件じゃねえか!? うちが変な踊りとかしてた場合でもバッサリされるのか!? こっそりおやつを食べてたりしたらバッサリされるのか!? …………晋作さんや九一さんより物騒だよ。 でもその前に。 「あのぅ……小姓って何ですか?」 …………。 素朴な質問に痛い子を見るような冷ややかな目で見るのはやめてぇぇ!! 晋作さんと吉田稔麿の冷たい視線が矢のようにぶっ刺さってくるんだけど!! 「……身の回りの世話役」 答えてくれたのはうちの横にやって来た九一さんで、懐から新しい手拭いをだしてうちの頭に巻いてくれる。 ……吉田稔麿に切られちゃったからね。
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