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「身の回りの世話って……うちが吉田稔麿の世話をしないといけないことですか?」
「嫌なわけ? それに呼び捨て?」
「すすすいません!! 泣きたいぐらい嬉しいです!! 藍川直!! 吉田稔麿様の為なら火の中川の中!!」
低い声と目の前に突きつけられた刀の切っ先に、生命維持本能全開!!
吉田稔麿……様の側にいれるのは願ったり叶ったりなわけなんだけど、命がいくつあっても足りない気がしてきた。
「……猫は、私の小姓にするつもりだったんだが」
九一さんの世話なら喜んで……って、いかんいかん!!
うちがこの時代に来たのは吉田稔麿様を幸せにする為だろうが!!
ふらりふらりしたらいけねえよ自分!!
「猫? ドブ臭い猫を九一は欲しいわけ?」
「ドブ臭いって酷っ!? そんなドブ臭い猫をあなた様は小姓に……なんでもありません」
酷い発言につい反射的に口を開いてしまえば、目の前の鋭い切っ先が眉間に触れた。
軽く……軽ーく突き刺さってね?
このまま頭差し貫かれないよね?
直の串刺し一丁あがり!!
ひぃぃぃぃ!!』自分で想像しておきながら悲しくなってきたぁぁぁ!!
「マジで直をお前の小姓にすんのか?」
「怪しいと判断して躊躇なく斬れる。キミ達は出来るかい?出来ないでしょ? だからその役目は俺が買って出るって言ってるの」
「……猫は、斬る必要はない」
「言い切れないよ? 安全だって証拠があるわけ?」
「…………」
……言えないよねえ。
九一さんはうちが未来から来たのを知っている唯一の人だけど、うちが皆に黙っているから九一さんも言えないわけで。
押し黙るしかできない。
でもね、うちがここに来たのは吉田稔麿様を幸せにすることなんだ。
吉田稔麿様にバリバリ疑われてはいるが、このチャンスを逃したら女が廃るぜ!!
「うち、吉田稔麿様の小姓を喜んで承ります!!」
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