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(兵`Д´)「試験は簡単だ」
一番背が高く、威圧感を持した兵士が、台の前に立つ。
アルファベットの柄を掴み、掲げ上げた。
(兵`Д´)「このように、アルファベットを、持つだけだ。それができれば、合格だ」
場が、騒然となった。
たった、それだけ? 今まで訓練して体を鍛えた意味は?
錯乱が思考を襲う。
皆から疑問が噴出していた。
(兵#`Д´)「静かにしろ!」
兵士が恫喝して、静まり返る円形。
空気まで、震えているように思えた。
(兵`Д´)「では、試験を開始する」
台の前に立った10人の緊張は、更に深まったようだった。
誰も、アルファベットに触れようとしない。
アルファベットを持つくらい、誰でもできる。そのはずだ。
なのに、それだけで合格とは、一体どういうことだ。
わけが分からず、駆り立てられる恐怖心。
それが、10人の腕を固めていた。
(兵#`Д´)「早くしろ」
先程の恫喝に比べれば、はるかに静かな声。
しかし、込められた苛立ちは、誰しもが感じただろう。
その声に突き動かされるかのように、慌ててアルファベットを握る受験者たち。
一番右端の気弱そうな男が、アルファベットを、持ち上げた。
陽光を照り返すAの刃。
布に包まれた柄をしっかり握り締めた男が、安心と戸惑いを同時に表現した。
(兵`Д´)「0010、合格」
アルファベットを台に置いて、たまらないほど嬉しそうな顔で右手でガッツポーズを見せた。
その姿を見て、他の受験者たちも次々にアルファベットを手に取る。
全員が、それを高々と掲げた。
(兵`Д´)「0001から0009、全員合格。次、0011から0020だ。早くしろ」
それから試験はハイペースで進んでいく。
台の前に立った瞬間、アルファベットを持ち上げて、合格していく。
100人を突破しても不合格者は現れず、皆から緊張が消えた。
薄笑いを隠そうともせず試験に臨む者すらいた。
300人、500人、700人。
全て、合格していく。
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