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揺らいだ自分の気持ちに戸惑いはしたものの、俺が好きな人は先輩だし、やっぱり先輩以外の人と、なんて考えられなくて。
後で断ろう、と思いながら今日は結局タイミングが合わず、断ることができなかったのだ。
今日のことは、自分の恋人が他の誰かに告白された、なんてあまりいい気持ちにならないし、俺だって逆の立場だったらそんなの嫌だから、報告するつもりはなかった。
しかも今は喧嘩中で、告白してきた人が俺と同じ学年なら赤西先輩に伝わることはない、とそう思っていた。
…そう、思ってたのに。
「何で俺がそのこと知ってるのか?って顔してる。」
『……、』
先輩の声にビクっと身体が小さく跳ねる。
いつもより落ち着いた口調。でも、ひしひしと先輩の雰囲気で伝わってくる。
……ヤバい、めちゃくちゃ怒ってる。
「…お前の教室に行く途中で聞いたんだよ。どっかの馬鹿が、“今亀/梨に告ったら、何か脈ありっぽい”って言ってんの。」
『……ちがうよ、』
そう言って力無く首をふるふると小さく横に振る。
やっぱり、相手は俺が戸惑う姿に変に期待してしまったらしい。
でも、それはそんな態度をとった俺にも問題がある。
「…お前、何ですぐ断らなかったの?脈ありっぽい、って…。それとも何?俺とはもう別れるつもりだった?」
『……!!』
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